夕顔
「源氏物語」は、今からおよそ1000年前の平安時代の作品で、作者は女流作家、紫式部であることはあまりにも有名である。 今昔を問わず、わが国の代表的文学作品であり、世界最大最古の長編小説として、世界各国でも翻訳され多くの人々に愛読されている。 この物語は、恋多き男性、光る源氏の物語として知られている。しかし、平安時代の恋愛・結婚は、現代のそれとは異なり、政治、権力と表裏一体であった。 平安時代は、大きな武力闘争もなく平和が続いた。そのような時代においては、身分や権威が尊重され、女性は、家どうしの政略結婚の駆け引きの道具と考えられていた。 光る源氏を、単なる恋多き男として認識するのではなく、そのような時代背景を考慮しながら読んでみると実に興味深い。 私が最も関心を抱いたのは、源氏がかかわった多くの女性達である。身分を問わず、その一人一人の個性の豊かさを、私の受けたイメージで表現してみたいと考えている。
源氏は、素性を隠したまま、庶民の女である夕顔のもとへ通いつめた。それはいつも月夜の晩だった。 源氏が彼女を見初めた時、垣根に夕顔の花が咲いており、彼女はその一房を扇に乗せ差し出した。 桐の花や藤の花の高貴さとは異なり、一般庶民の花である夕顔は、その人となりをも象徴している。
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